再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
午前中は順調に検査の予定をこなした。
今日は胃カメラの担当だから検査の回転も速くて、合間には座って息をつく時間もあった。
頭痛も倦怠感も消えたわけではなかったけれど、何とか誤魔化しながら午後を迎えた。

「今日は午後も予約がギッチリですね」
「うん、そうね」

午後には少し回復すると思った体調も悪化する一方で、軽いめまいまで感じるようになった。
マズイ。このままめまいがひどくなれば、検査に影響する。
もちろん根性で今日1日を乗り越えようとは思うけれど、誰かに応援を頼むことも考えておいた方がいいのかもしれない。
でもな、研修医は塙くんを除いて皆川先生が検査室から出してしまったから、ただでさえ手薄な状態。他の先生方もあと数時間は体が空かないだろう。
仕方ない、もう少し頑張ろう。
自分の頭の中でそんなことを考えていた。

「和田先生、お願いします」
「はい」

スタッフの声に気合を入れて立ち上がり、検査室へと向かおうとした瞬間、

ガクン。
踏み出した足に力が入らなくて、膝と両手をついた。

「和田先生っ」
駆け寄ってくる塙くん。

「大丈夫、大丈夫だから」

じっとしゃがみこんだまま、お願い大騒ぎしないでと塙くんの腕をとった。
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