再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「お前、ここまでどうやって来たか覚えてる?」
クスクスと笑いを浮かべながら敬が私を見る。

「え、知らないけれど」

内視鏡室で気を失ったところまでは覚えている。
そこから自分の足で歩いてきたとは思えないから、誰かに運んでもらったはず。
車いすか、ストレッチャーってことはないはずだけれど・・・
なんだか聞くのが怖いな。

「私、どうやってここへ来たの?」
それでも、恐る恐る聞いてみた。

「抱きかかえられて」
「だ、抱きかかえられてって・・」
自分でも声が上ずっているのが分かる。

「俗にいうお姫様抱っこってやつ」
「・・・本当、に?」

敬のことだから、笑いながら冗談だよって言ってくれるんじゃないかと微かな期待を抱いた。
でも、

「白衣のまま抱えられ、お姫様抱っこの状態で院内を歩いて、ここまで連れてこられたんんだ」
「嘘」
それじゃあ見世物じゃない。

「それで、連れてきてくれたのは・・・」

「残念ながら俺じゃない」

ですよね。
じゃあ、塙くんかな?

「皆川先生だよ」
「えっ?」
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