再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司

「環ちゃん」
大きな声で名前を呼び、いきなりカーテンを開けたのは副院長。

「副院長、お静かにお願いします」

敬がそれとなく注意するけれど、

「大丈夫か？倒れたって聞いてびっくりしたよ」
声が小さくなることはなさそう。

「ご心配かけてすみません。少し疲れが出たみたいで。でも、もう平気ですから」
精一杯元気だぞとアピールして、笑って見せた。

「最近は先生たちにも無理をお願いすることが多くて申し訳なく思っていたんだが、倒れるほど疲れていたんなら休みを取らないと」
「すみません」
「いや、環ちゃんが悪いんじゃなくて、これは上司の責任だよ」

え、あ、それは・・・

「副院長、疲れているのは環だけではありません。これは消化器科だけではなくて、病院全体で考えないといけないことだと思います」
矛先が消化器部長に向かいそうになったのを敬がフォローしてくれる。

「そうだな。一度会議にかけようか」
ウンウンと頷く副院長。

よかった、敬のおかげで助かった。