再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
結局点滴が終わるまで、私はベットに寝たままでいた。
いくら言っても敬は抜針してくれないし、副院長にまで「寝ていなさい」と言われては逆らえない。

はあー、これからどうしよう。
今日は内視鏡に戻るなって言われたし、おとなしく帰るしかないのかな。

「和田先生」
「はい」
いきなり呼ばれ、反射的に返事をしてから少し後悔した。

この声は皆川先生。
正直、会いたくないと言うか、今は会わせる顔がない。

「具合、どう?」
検査着に白衣を羽織った状態の皆川先生が入ってきた。

「もう、大丈夫です。迷惑かけてすみません」

院内を抱えて歩かれたって聞いてしまったから複雑な思いもあるけれど、謝るべきことは謝ろうと頭を下げた。

「本当だよ。いきなり倒れるなんて、どれだけ心配したと思うんだ」
だから、
「すみません」

「大体、具合が悪いなら休みなさい」
「朝はそれほどではなくて」

「少なくとも、倒れる前には言ってくれないと」
「まだ大丈夫だと思ったんです」

「大丈夫じゃなかったな」
「・・・すみません」

いけないこととは思いながら、私はムッとした表情になった。
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