再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司

「2人のことは、この間新太くんから聞いたよ」
「そうでしたか」

皆川先生が副院長にどう説明したのかはわからない。
でも、どれだけ言いつくろっても、私がやったことが消えるわけじゃないし、この罪の意識も一生消えることがないだろう。

「大丈夫かい？辛くはないかい？」
「ええ」

申し訳ないと思う気持ちはあっても、辛いとは思わない。そもそもそんなことを言う資格は私にはない。

「ただでさえ因縁があるのに、病院内でも噂になって、環ちゃんがやりにくいんじゃないかなって心配でね」
「そんな」

噂話だけが独り歩きしてしまうことに戸惑う気持ちはある。
でも、噂なんていつかは消えるし、事実を伴わない根も葉もない噂なわけで、今は放置するのが一番と思っている。