再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
30分ほど手伝って、私は外来ギリギリまで内視鏡室にいた。
皆川先生は「助かったよ、ありがとう」と言っただけで次の検査に向かって行った。
どちらかというと騒いだのはスタッフや仲間の先生たちで、すごいすごいと大絶賛。
どうやら今まで皆川先生のサポートに入れる人がいなくて困っていたらしく、私はずいぶん株を上げてしまった。
「これからコンビで入るかい?」
本気とも冗談ともわからない上田先生の言葉。
「からかわないでください」って逃げたけれど、実際は懐かしくて、心地よくて、心が揺れた。
まだ未熟だった頃の子供じみた初恋のはずなのに、いまだに立ち切れていない自分に驚いてしまう。
「顔が緩んでますよ」
その時、遠慮のない言葉が背後から聞こえ、振り返ると塙くんが立っている。
「塙くん」
どうしたのと聞きそうになって、やめた。
先日の検査で皆川先生を怒らせて以来、塙くんは検査に入らせてもらっていない。
もちろんサポートで入ることはあっても、カメラはさせてもらえないでいる。
かわいそうだなと思うけれど、仕方ないと思う気持ちもあって私は知らないふりでいた。
「ずいぶん楽しそうですね?」
「そお?」
きっと塙くんは自分以外のみんなが全て楽しそうに見えるんだろうな。
何を言っても今の塙くんには届かないだろうと、私は言い返すことをやめた。
皆川先生は「助かったよ、ありがとう」と言っただけで次の検査に向かって行った。
どちらかというと騒いだのはスタッフや仲間の先生たちで、すごいすごいと大絶賛。
どうやら今まで皆川先生のサポートに入れる人がいなくて困っていたらしく、私はずいぶん株を上げてしまった。
「これからコンビで入るかい?」
本気とも冗談ともわからない上田先生の言葉。
「からかわないでください」って逃げたけれど、実際は懐かしくて、心地よくて、心が揺れた。
まだ未熟だった頃の子供じみた初恋のはずなのに、いまだに立ち切れていない自分に驚いてしまう。
「顔が緩んでますよ」
その時、遠慮のない言葉が背後から聞こえ、振り返ると塙くんが立っている。
「塙くん」
どうしたのと聞きそうになって、やめた。
先日の検査で皆川先生を怒らせて以来、塙くんは検査に入らせてもらっていない。
もちろんサポートで入ることはあっても、カメラはさせてもらえないでいる。
かわいそうだなと思うけれど、仕方ないと思う気持ちもあって私は知らないふりでいた。
「ずいぶん楽しそうですね?」
「そお?」
きっと塙くんは自分以外のみんなが全て楽しそうに見えるんだろうな。
何を言っても今の塙くんには届かないだろうと、私は言い返すことをやめた。