再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司

絡んだ糸が解けるとき

それから1ヶ月。
穏やかで平和な時間が流れた。

皆川先生と一緒に検査に入ることも増え、以前ほど避ける意識もなくなっていった。
同時に院内を駆け巡っていた噂もかなり下火になって、やりにくさを感じることもなくなった。

「和田先生、今日行くの?」
「はい。先生も行くんですよね?」
「うん」

実は、今日は内視鏡室の納涼会。
消化器科の医師と内視鏡スタッフの飲み会で、30人ほどのメンバーでビアガーデンに出かける。
金曜日で明日は休みだし、勤務でない医師は全員参加って聞いたから私も行くことにした。

「君たち、6時半にタクシーを呼んでいるから駐車場に集合だよ」
いつもは内視鏡に顔を出さない部長もニコニコしながら歩いている。

「部長、楽しそうだね」
「そうですね」

そう言う皆川先生は楽しくないんですか?
そう聞こうとして、パソコンを見つめる横顔を盗み見た。

フフフ。
やっぱりかっこいい。

「飲み会で飲みすぎないでくれよ」
「大丈夫です」
ついムッとする。

どうやら皆川先生の中で、私はあの頃のままのようだ。
まあ、色々と醜態をさらした記憶があるから仕方ないか。
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