再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「カンパーイ」

夜7時に始まった飲み会は、広いビヤガーデンの一角を占領しながら盛り上がっていった。
部長は若手看護師たちを両隣においてご機嫌で飲んでいて、他のスタッフ達も楽しそうに騒いでいる。
私は隅のテーブルでなんとなくその様子を見ていた。

「和田先生飲んでますか？」
いきなり声をかけてきたのは内視鏡の男性スタッフ。

「ええ、飲んでますよ」
「あれ、グラスが空じゃないですか」

現れた男性スタッフはすぐに新しいジョッキを持って来て私の前に置き、自分も隣の席に座った。

「どうぞ」
「どうも」

自分のペースで飲んでいたのになとは思いながら、せっかく運ばれてきたビールにお礼を言う。

「先生、こういう席って苦手ですか？」
「え？」

突然聞かれ、ビールを持つ手が止まる。
確かに、お酒の席が好きなわけではない。お酒自体は嫌いではないけれど、飲み会となると苦手意識が出る。でも、それは態度に出ないようにしているつもりだった。

「和田先生って合コンとか行かなさそうですもんね」
おそらく同年代だろう男性スタッフの、いつもとは違う砕けた口調。

「そうですか？」

私ってそんなイメージなんだ。
そう言えば学生時代には付き合いで何度か参加したけれど、正直いい思い出はない。

「まあ、杉原先生みたいな人が側にいたんじゃあ、その辺の男は寄ってこれないですかね」

え？
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