夏が、終わる
去年の夏、東京
去年。
あの人はわたしを「ゆみ」と呼んだ。
友達に呼び捨てにされるのはなんか嫌なんだけど、あいつは別だった。
「ゆみ」
まだ髪が背中の真ん中くらいまであった頃。
わたしの名前は、そう呼ばれるためだけにあるんだと確信してた。
実際、今でもそうだったと思う。
まあ、そんな時代は、夏休み終了とほぼ同時にサヨナラだったけど。