夏が、終わる


恋をするって、すごいことだ。



恋をしてるとき、わたしはヒマがあったら枝毛がないかチェックしてた。

クマができてたらコンシーラーで隠そうとしてがんばった。

少しでも可愛く見えるように鏡の前で研究した。

マスカラとか、ダマにならないやつのこと、情報集めて色々試してみた。



すばらしい。

今のわたしじゃ考えられない。



今じゃもう、髪がはねていようと気にしない。

クマができるほど夜遅くまでメールしたい相手はいない。

誰かに可愛いってほめられてもそんな嬉しくない。

マスカラは安いヤツで、カラになるまで気合いで使う。





すごい差。


きっと、あいつの口から流れ出る「ゆみ」って言葉には、魔力があったんだ。



< 8 / 17 >

この作品をシェア

pagetop