夏が、終わる
恋をするって、すごいことだ。
恋をしてるとき、わたしはヒマがあったら枝毛がないかチェックしてた。
クマができてたらコンシーラーで隠そうとしてがんばった。
少しでも可愛く見えるように鏡の前で研究した。
マスカラとか、ダマにならないやつのこと、情報集めて色々試してみた。
すばらしい。
今のわたしじゃ考えられない。
今じゃもう、髪がはねていようと気にしない。
クマができるほど夜遅くまでメールしたい相手はいない。
誰かに可愛いってほめられてもそんな嬉しくない。
マスカラは安いヤツで、カラになるまで気合いで使う。
すごい差。
きっと、あいつの口から流れ出る「ゆみ」って言葉には、魔力があったんだ。