夏が、終わる
彼氏がわたしを「ゆみ」って呼ぶたびに、わたしは彼氏に夢中になった。
わたしにだけ効く魔法をあいつは使えた。
彼を探す。見つかる。
心が飛び跳ねる。
彼と目が合う。
胸が躍る。
彼と会う約束をする。
心臓が痛いくらいドキドキいう。
彼が髪に触れる。
何も言えなくなる。
彼が私に微笑む。
他のものが見えなくなる。
彼がわたしを「ゆみ」と呼ぶ。
この時が永遠に続くと信じる。
それはたぶん、いや、絶対に、魔法だった。