エリート脳外科医は契約妻を甘く溶かしてじっくり攻める
 ある程度の情報は頭に入れたから、もう後はショップを色々回った方がよさそう。
 実際に見て回ったらなにか閃くかもしれないし、彼へぴったりのプレゼントに出会えるかもしれない。

 それから私は身支度を整え、マンションを出た。

 男の人のプレゼント……どこへ行ったらいいかな。丸の内? 表参道とか渋谷も色々あるかな……。

 行き先も定まらないまま、エレベーターに乗った。
 ロビーへ降りていくエレベーターの中で、また腹部に違和感を抱く。私は『気のせい』と自分をごまかしながら、エントランスをくぐった。

 しかし、外に出て地下鉄の駅方面へ足を向けた瞬間、激痛に変わり、さらには眩暈がした。

 自分の急な体調の変化に驚いて、心臓がバクバク鳴る。直後、一瞬視界がなくなった。

 次に感じたのは身体の側面の痛み。どうやら左側に傾いて倒れてしまったらしい。

 頭の中では状況を理解しても、身体が言うことをきかない。

 焦っている間に、近くを通りかかった人が心配して声をかけてくれた。私はそれにすら反応を返せなくて、ついには再び重い瞼を閉じた。

 わかるのは遠くに聞こえる人の声と、激しい痛みだけ。

 そのうち痛みのせいか意識が飛んで、なにもわからなくなった。
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