エリート脳外科医は契約妻を甘く溶かしてじっくり攻める
「ごめんね~。ミイちゃんも誘ってって私からお願いしたの。真美も来たがってたんだけど、仕事がね~」
「あ、いえ。ちょっとびっくりしただけで」
由里子さんに謝られたら恐縮してしまう。
私と母は由里子さんの向かいのソファに座った。
「真美ちゃん、日曜も診療してるの?」
「働く女性を考えて、土日はフル診療、月曜休診、その他二日が午前診療だって」
「へえ。殊勝ねえ」
顔を合わすなり、流れるように雑談を始めるふたりを横目に、私はひっそりと置き物のごとく黙っていた。
由里子さんが苦手とかではない。由里子さんが私と文くんが交際している話を知っているかどうかがわからないがゆえ緊張していた。
仮に知っていたとしたら、なにを言われるだろう。知らなかったとしても、この場で母が暴露する可能性もある。
母と由里子さんがメニューを広げ、オーダーするものをそれぞれ決める。店員にオーダーし終えて落ち着いた直後、由里子さんに笑いかけられた。
「で? どっちから?」
「え? どっちって……」
困惑する私に、由里子さんはにんまり顔を見せる。
「告白よ~。まさか文尚がミイちゃんとなんてねえ。春菜から連絡受けたときは本当にびっくりしたけど、すごくうれしくなっちゃった!」
母から話がいっていた事実に今さら驚きはしなかった。だって、よくよく考えたら、文くんからの確認の返事も待たず、父に話したんだもの。
そこは仕方ないとして。由里子さんが私たちの関係を知っていて、母を含め突然三人でお茶って……絶対尋問される。いろいろ根掘り葉掘り聞かれる……!
この先を予想した直後、案の定由里子さんが両腕をテーブルに乗せて身を乗り出してきた。
「ね。一か月になるのよね? どうなの? 文尚、忙しそうだしデートとかできてないんじゃないの?」
「そ、そう……かも? あっ。でもお医者さんが忙しいのは親を見てわかってるし、私は別に気にしないから」
本当はこんな話、顔から火が出るほど恥ずかしい。
絶対こんな場面を文くんに見られたくない。
「そうよね。ミイちゃんの家も親がふたりともそうだから理解力はあるわよね。だけど今から我慢してたらダメよ。言うだけタダなんだから、思ってることは言う! それが一番よ」
熱弁を奮う由里子さんを前に、私は困って笑顔を浮かべるだけ。
「それは理想だけど、文くんも今大事な時期でしょう。澪に合わせてられないわ」
なぜか私ではなく母が苦笑交じりに答える。
すると由里子さんは、「そう言ってくれるのはありがたいけど」と漏らしてから、なにか閃いたらしく手を叩いた。
「そうだ。もうふたりで一緒に住んじゃえばいいんじゃない? 文尚のマンション、部屋余ってるはずだし。春菜はどう思う?」
「ええっ!」
「あ、いえ。ちょっとびっくりしただけで」
由里子さんに謝られたら恐縮してしまう。
私と母は由里子さんの向かいのソファに座った。
「真美ちゃん、日曜も診療してるの?」
「働く女性を考えて、土日はフル診療、月曜休診、その他二日が午前診療だって」
「へえ。殊勝ねえ」
顔を合わすなり、流れるように雑談を始めるふたりを横目に、私はひっそりと置き物のごとく黙っていた。
由里子さんが苦手とかではない。由里子さんが私と文くんが交際している話を知っているかどうかがわからないがゆえ緊張していた。
仮に知っていたとしたら、なにを言われるだろう。知らなかったとしても、この場で母が暴露する可能性もある。
母と由里子さんがメニューを広げ、オーダーするものをそれぞれ決める。店員にオーダーし終えて落ち着いた直後、由里子さんに笑いかけられた。
「で? どっちから?」
「え? どっちって……」
困惑する私に、由里子さんはにんまり顔を見せる。
「告白よ~。まさか文尚がミイちゃんとなんてねえ。春菜から連絡受けたときは本当にびっくりしたけど、すごくうれしくなっちゃった!」
母から話がいっていた事実に今さら驚きはしなかった。だって、よくよく考えたら、文くんからの確認の返事も待たず、父に話したんだもの。
そこは仕方ないとして。由里子さんが私たちの関係を知っていて、母を含め突然三人でお茶って……絶対尋問される。いろいろ根掘り葉掘り聞かれる……!
この先を予想した直後、案の定由里子さんが両腕をテーブルに乗せて身を乗り出してきた。
「ね。一か月になるのよね? どうなの? 文尚、忙しそうだしデートとかできてないんじゃないの?」
「そ、そう……かも? あっ。でもお医者さんが忙しいのは親を見てわかってるし、私は別に気にしないから」
本当はこんな話、顔から火が出るほど恥ずかしい。
絶対こんな場面を文くんに見られたくない。
「そうよね。ミイちゃんの家も親がふたりともそうだから理解力はあるわよね。だけど今から我慢してたらダメよ。言うだけタダなんだから、思ってることは言う! それが一番よ」
熱弁を奮う由里子さんを前に、私は困って笑顔を浮かべるだけ。
「それは理想だけど、文くんも今大事な時期でしょう。澪に合わせてられないわ」
なぜか私ではなく母が苦笑交じりに答える。
すると由里子さんは、「そう言ってくれるのはありがたいけど」と漏らしてから、なにか閃いたらしく手を叩いた。
「そうだ。もうふたりで一緒に住んじゃえばいいんじゃない? 文尚のマンション、部屋余ってるはずだし。春菜はどう思う?」
「ええっ!」