エリート脳外科医は契約妻を甘く溶かしてじっくり攻める
「文尚、昔から上を向いて寝られないタイプなの。必ず横向き」
真美ちゃんの言葉を聞いて白旗を上げるしかなくなった私は、なにからどう切り出そうか言い淀む。
その間にも、真美ちゃんは立て板に水のごとく話し出す。
「大方あいつの女避けにでもされてるんじゃない? まあ気持ちはわからなくはないんだよ? だって文尚の姉っていうの聞きつけて私にまで仲を取り持ってほしいって言ってくる人もいるくらいだし。そこは同情するけど、ミイちゃんを利用するなんて」
「あのっ……違うの。文くんはなにも悪くないし、むしろ私がお願いしてこういう状況になってて……」
「え!? そうなの? てっきり惚れた弱みに付け込まれてあいつにミイちゃんは振り回されてるんだと思ってた!」
「えっ」
惚れた弱みってことは……真美ちゃんって私の気持ちに気付いてるって話?
途端に顔が熱くなる。真美ちゃんの方をまともに見られなくて俯いた。
私の反応を見て、彼女は柔らかな口調で言う。
「だってミイちゃん、昔から文尚のこと好きだったでしょ?」
母だけでなく真美ちゃんにもバレていたなんて! 私どれだけ気持ちをダダ漏れさせてたの。恥ずかしすぎる!
「それってもしかして……みんな知ってたの?」
「まあ……知らないのって当の本人だけじゃない? あいつ、優しいけどそういうところは鈍感だし、今も変わってないと思うから」
恐る恐る尋ねると衝撃の回答が返ってきて愕然とした。
本人には伝わっていないらしいのは不幸中の幸いか。いや。むしろ周知されるくらいなら、いっそ本人にも気付いてほしかったかも。
それではっきり脈ナシってわかれば……って、私、いつまで他力本願でいるんだろう。
自分のダメなところを再認識して肩を落とす。
「それにしても誤算だったな。ミイちゃんが困ってるのかと思い込んでたから。じゃあ、余計なお世話ってことよね。ごめん」
「あ、いや……」
「なーんかすっきりしない返事ねえ。ミイちゃんが文尚の帰国をきっかけにアピールしてるって話じゃないの?」
「あ、あぴーる……」
自分の辞書にはない言葉に片言で繰り返し、茫然とする。
真美ちゃんはひとつ息を吐いて、私の両目を覗き込んだ。
真美ちゃんの言葉を聞いて白旗を上げるしかなくなった私は、なにからどう切り出そうか言い淀む。
その間にも、真美ちゃんは立て板に水のごとく話し出す。
「大方あいつの女避けにでもされてるんじゃない? まあ気持ちはわからなくはないんだよ? だって文尚の姉っていうの聞きつけて私にまで仲を取り持ってほしいって言ってくる人もいるくらいだし。そこは同情するけど、ミイちゃんを利用するなんて」
「あのっ……違うの。文くんはなにも悪くないし、むしろ私がお願いしてこういう状況になってて……」
「え!? そうなの? てっきり惚れた弱みに付け込まれてあいつにミイちゃんは振り回されてるんだと思ってた!」
「えっ」
惚れた弱みってことは……真美ちゃんって私の気持ちに気付いてるって話?
途端に顔が熱くなる。真美ちゃんの方をまともに見られなくて俯いた。
私の反応を見て、彼女は柔らかな口調で言う。
「だってミイちゃん、昔から文尚のこと好きだったでしょ?」
母だけでなく真美ちゃんにもバレていたなんて! 私どれだけ気持ちをダダ漏れさせてたの。恥ずかしすぎる!
「それってもしかして……みんな知ってたの?」
「まあ……知らないのって当の本人だけじゃない? あいつ、優しいけどそういうところは鈍感だし、今も変わってないと思うから」
恐る恐る尋ねると衝撃の回答が返ってきて愕然とした。
本人には伝わっていないらしいのは不幸中の幸いか。いや。むしろ周知されるくらいなら、いっそ本人にも気付いてほしかったかも。
それではっきり脈ナシってわかれば……って、私、いつまで他力本願でいるんだろう。
自分のダメなところを再認識して肩を落とす。
「それにしても誤算だったな。ミイちゃんが困ってるのかと思い込んでたから。じゃあ、余計なお世話ってことよね。ごめん」
「あ、いや……」
「なーんかすっきりしない返事ねえ。ミイちゃんが文尚の帰国をきっかけにアピールしてるって話じゃないの?」
「あ、あぴーる……」
自分の辞書にはない言葉に片言で繰り返し、茫然とする。
真美ちゃんはひとつ息を吐いて、私の両目を覗き込んだ。