エリート脳外科医は契約妻を甘く溶かしてじっくり攻める
「そのうち孫に会えるかもしれないのよね。不思議ね~」
「私たちの孫かあ。どうしよう。楽しみしかないわ」

 危うくコーヒーを噴いてしまうところだった。
 孫!? 気が早すぎるよ!
 カアッと顔を熱くしていた時に、廊下から声が響いてきた。

「ただいま~。ミイちゃん!」

 ガチャッとリビングのドアを開けるや否や、私に声を掛けてくれたのは真美ちゃんだ。

「元気してたー?」
「うん。元気」

 母たちをそっちのけで私のもとにやってきては抱きしめられる。

「まったく真美ったら。ミイちゃんはもう子どもじゃないのに、そんな対応されても困るじゃない」
「いいじゃない。ねえ? ところで……なんか急に綺麗になったんじゃない? 肌艶もいいし、髪も潤ってる気がする。恋してるからエストロゲンの分泌量が増えてるのね~いいな~」
「恋っ……」

 冷やかし交じりに言われ、思わず反応してしまう。
 私は頬が火照るのを感じ、咄嗟に俯いた。

 それから女子会みたいに四人で話をして、小一時間経った頃に真美ちゃんが言う。

「あ、そうだ。ミイちゃんに渡したいものあるんだった。ね、ちょっとふたりで私の部屋に行ってるね」

 母たちを残し、私は真美ちゃんについていく。

「渡したいものって?」
「私のクリニックに置いてるスキンケア商品のサンプルなの。オススメだから使ってみて~。今以上に綺麗になるかも」
「そんなこと……でもうれしい」

 にんまり顔で言われて再び照れつつ、真美ちゃんの部屋に入る。

 真美ちゃんの部屋は意外にもシンプル。

 真美ちゃん自身とても女性らしい人だし、職業が医師ではあるけど美容にも関する医師だから、部屋も明るく華やかなイメージが湧く。
 しかし、実際は白を基調としたさっぱりとしたコーディネートだ。
< 95 / 138 >

この作品をシェア

pagetop