外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
「綺麗だ」
恥ずかしいと思う隙も与えず、大河内さんは胸元にキスの雨を降らせていく。
「あまり、見ないでください。あっ──」
胸の膨らみを寄せるようにされて、一際高い声が口から飛び出した。
「それは難しいお願いだな」
さっきまでの紳士だった大河内さんが嘘のように、どこか意地悪な囁きと微笑で攻められる。
それでも私に触れる熱い指は優しくて、不安もなく身を任せられた。
一糸まとわぬ姿になってからは、じっくり時間をかけて大河内さんは私の体を暴いていく。
着衣ではわからなかった無駄な肉のない逞しい体に、高鳴り続ける鼓動は痛いほど打ち鳴る。
抱き締められると体は火照っていて、それだけでとろけてしまいそうだった。
私への気遣いを垣間見せながら、ゆっくりと彼の熱が入ってくる。
久しぶりのことで受け入れられるか心配が頭を過ったけれど、それは不要なほどすんなりと深くまで繋がった。
「大丈夫?」
「はい……大丈夫、です」
私の返事を聞くと、大河内さんは「少し、このままでいようか」と髪を撫でてくれる。
欲望のままに暴走しないのははやり紳士だなと、こんな状況の中密かに思ってしまった。