外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


 広いベッドの上で、甘美な時間はゆっくりと流れていく。

 胸を喘がせながら見た彼の表情が艶っぽくて、高鳴りっぱなしの鼓動は落ち着くことができない。

 さっきまできっちりとセットされていた髪もいつしか乱れ、前髪が激しい行為に揺れるのを涙の膜が張る視界の中で見ていた。


「ぁ……っ、んっ、っ……」


 自分の意思とは別に甘い声が漏れ出てきて、必死に口の中に留めようとする。

 体を繋げたまま、覆い被さってきた彼は私の耳元に唇を押し当てた。


「なぜ声を抑える?」


 その低い囁きにさえぞくりと体が反応する。

 真上から私を覗き込んだ綺麗な顔には、私を見透かすような微笑が浮かんでいた。


「恥ずかしい、から……」


 なんとか答えた私をクスッと笑う、悪戯な薄い唇。そして、再び耳元へと近づく。

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