外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


「そう言わずに、可愛い声をもっと聞かせてほしい」

「可愛い、なんて……そんな、こと」


 そんな風に言われてしまうと、余計に羞恥が押し寄せる。

 小さく横に首を振る私をまた微かに笑い、「それなら……」と吐息混じりの声が聞こえた。


「あぁっ……!」


 一際深く腰を打ちつけられ、抑えていた声が部屋中に響き渡る。


「我慢できなくするまでのこと」

「やっ、あっ、あぁっ──」


 何度となく押し寄せる波のような快感の中で、心も体も蕩けていく。


「きっと、この先もうない。あなたのような人と居られるこんな夜」


 耳元でそんな声が聞こえたとき、私は元に戻れるのかと不安になるくらい恍惚としていた。

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