外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
瞼の向こうで明るさを感じて、ゆっくりと目を開く。
ほんわかした淡いオレンジ色に包まれていた部屋は陽の光を取り込み、すっかり爽やかな別の顔を見せていた。
上体を起こした視線の先に見えたのは、大きな窓の向こうに広がるクリスタルブルーの海。
大河内さんは……?
海から振り返ったベッドには私ひとり。一緒に眠ったはずの大河内さんの姿がない。
ベッドサイドに設置された時計の針は、まだ六時を回ったところだった。
ベッドの下に脱ぎ散らかしてしまった衣服は、そばのソファにまとめて置かれていた。
それを手早く身につけ、ガラス窓に映る自分の姿を確認する。下ろしたままの長い髪を手櫛でといて整えた。
透けて見える自分の先に広がる、澄み切った青い海。
今すぐにでも飛び込めそうな海の近さは、憧れのリゾートアイランドならではだ。
夜が明けてその全貌に驚愕しているのは、昨夜その余裕がなかったから。
この部屋に着いたときには、ほとんどもつれ合うようにしてベッドの上にいた。