外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


「大河内さんこそ、どうして今日来たんですか? 事前に私がお見合いの相手だってわかっていたなら、先に断れば良かったじゃないですか。お見合い反対同盟組んだ仲じゃないですか」

「お見合い反対同盟? なんですかそれは」


 お見合い反対に意気投合したモルディブでのディナーのことをそんな風に言ってみると、大河内さんはなぜかクスクスと笑い始める。

 笑いをくすぶらせたまま「やっぱり、嘉門さん面白いですね」と言った。


「なぜ来たか、ですか。それは、またあなたに会いたいと思ったからです」

「え……?」


 私に会いたい? なぜ?


 ストレートな言葉を受け、すかさず鼓動が反応を示す。ドッドッと音を主張させ始めた。


「今回の縁談相手があなただとわかったとき、事前に連絡を取ろうとしました。でも、連絡がつかなかった」

「あ……それは……」

「交換した連絡先、すでに削除されたということですよね?」

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