外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
「お邪魔してまーす」
「ああ。来てたのか」
「この間のモルディブのお土産を佑華さんに届けに」
私たちが何か話していた雰囲気を感じ取った七央は、「どうぞ、続けて」と私たちの会話再開を促す。
「ああ、うん。えっと……」
「外したほうがいい内容なら今いなくなるから待って」
七央の言葉に佑華さんの〝どうですか?〟という視線を受けて、即「大丈夫」と答えていた。
「ちょうど良かったよ。七央にも一緒に知らせておこうと思ったから」
今この場にいなければ、佑華さんから伝えてもらおうと思っていた。だけど、ふたり揃っているならちょうどいい。
淹れてもらった紅茶で口を潤し、私に注目するふたりに向けて口を開いた。
「この間お見合いした人と、近いうちに結婚することになりそうなんだ」
もったいぶらず一気に報告をすると、佑華さんも七央も一瞬何を言われたのかわからなかったのか静止したまま。
だけど数秒後、佑華さんの「えっ!?」いう声がリビングに響き渡った。