外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
「そうですね……」
「何か食べますか? もし、お好きなものがあれば。確か、甘いものはお好きと言っていましたよね?」
「はい、好きです。でも、ケーキとかよりは、この中ならパフェ系ですかね。フルーツが好きなので」
「それなら、ここのフルーツパフェは美味しいみたいですよ。季節のフルーツをふんだんに使ったパフェが有名みたいです」
「そうなんですね。じゃあ、そのフルーツパフェにします」
通りがかったスタッフを呼び止め、大河内さんがオーダーする。
私はフルーツパフェと温かいアールグレイティーを頼み、大河内さんはブレンドコーヒーを注文した。
「早速ですが……」
スタッフが去った席で、大河内さんが傍らに置いているブリーフケースを手にする。
そこから一枚のカードを取り出し、私に差し出した。
「これは?」
「新居のカードキーです」
「え、新居?」
驚くフレーズが出てきて、つい訊き返す。
「伺った条件を元に、私のほうで用意させていただきました」