外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


 入籍し、一緒に住むことになるマンションの希望地域や、インテリアの好み、必要な家具家電についての質問がメッセージアプリで来ていたのはお見合い後すぐのこと。

 訊かれたことに返信はしていたけれど、まさかこんなに早く住まいが決まりカードキーを渡されるなんて思いもしない。


「嘉門さんはフリーランスで通勤もなく場所はお任せということだったので、この近くの物件で決めさせてもらいましたが、良かったですか?」

「はい、それは構いません」


 毎日どこかに通勤をしているわけではない私の仕事柄、住まいの場所は大河内さんの都合のいい場所でいいと伝えていた。

 このあたりなら、大河内さんの通勤も楽だろう。


「住まいは、インテリアコーディネーターに依頼をして、すでにいつ入居しても問題ない状態に仕上がっています」

「え、すごい。そうなんですか?」

「はい。一度見に行ってきましたが、落ち着いたいい感じの部屋でした。嘉門さんが気に入ればいいのですが」


 さっきオーダーを受けていったスタッフが戻ってきて、大河内さんのブレンドコーヒーと私のアールグレイティーを置いていく。パフェはもう少々お待ちくださいと言われた。

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