外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
「それから、挙式などの希望をまだ伺っていませんでしたね」
「挙式……」
「何か希望の形があれば教えていただきたい。お互いの両親にも要望は訊いて、一番いいスタイルの結婚式ができたらと思っています」
新居の話から、結婚式のこと。
いよいよ本当にこの目の前にいる大河内さんと一緒になるということが現実味を帯びてくる。
でも、淡々としているせいか、どこか事務的に感じられる。仕事をこなしていくような手際の良さのせいだろうか。
「希望の形は……私はやっぱり、普通の教会での結婚式ですかね。ウエディングドレスは着てみたいかなって」
結婚ということに縁がなかった今までは、仕事でウエディングドレスを見ても綺麗だなと単純に思う程度だった。
だけどここ最近、街中でディスプレイされているウエディングドレスを見つけて無意識に足を止める自分がいた。
結婚ということが自分にとって近づいてきた現実だからなのだろう。