外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


「そうですか。では、その希望通り進めていきましょう。ご両親にも希望を訊いてみてください」


「わかりました」と返事をしたタイミングで、私のオーダーしたフルーツパフェが遅れて運ばれてくる。

 背の高いパフェグラスの中は赤とピンクと白の層になり、スライスされたイチゴが透けて見えている。上には艶のある真っ赤なイチゴが何個も載っていて、思わず「わぁ、豪華」と呟いていた。


「食べ終わったら、早速行ってみましょうか」

「あ……新居、ですか?」

「ええ。見てもらって、何か足りないものなどあれば早めにわかったほうがいい」

「そうですね」

「それと、ここで話すには不向きな話もあるので、ふたりきりになれれば」


 え……?


 ここでは話せない内容とは一体どんな話なのか。

 長い指先でコーヒーのカップを掴んだ大河内さんを目に、また「わかりました」と返事をした。

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