外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


「ほんとだ。もう完成してる……」


 インテリアコーディネーターに依頼したらという部屋は、どの部屋も家具家電が入り今すぐからでも生活がスタートできる状態だった。

 それでいてモデルルームのように美しく、センスが良い。

 ブラックを基調としたマンションに合わせ、コーディネートされた部屋はモノトーン調で落ち着いた雰囲気だ。

 そして、なんと言っても高層階からの眺めは絶景。寝ても覚めてもこの景色を見ることができるのだ。


「どうぞ、好きに見てみてください。何か気になるところがあれば教えていただきたい」

「わかりました。では、失礼して……」


 リビングからじっくりと部屋の中を観察して回る。壁に埋め込まれるように設置された大画面のテレビに、白い革張りのソファ。

 キッチンにはスタイリッシュな最新調理家電が入っていて、使いこなせるように料理の勉強もしないといけないと密かに思った。


「どうです?」

 寝室を覗いているところで、リビングにいたはずの大河内さんが現れた。

「はい。もう、文句の付けどころのない住まいだと思います」

「そうですか。それは良かった。では、少しこちらにいいですか?」

「あ、はい」

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