外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
思いがけないバースデー
三月も残すところあと二日となった三月三十日。
今日は午前中から引っ越しで、単身パックを利用して実家から荷物を運びだした。
大物の家具などはないため、引っ越し自体は簡単に済んだ。
婚姻届を書いたあの翌日、予定通り晶さんがひとりで書類の提出に行ってくれた。
私は自分が人妻になる瞬間を見届けることもなく、その後かかってきた晶さんからの「今、行ってきた」という報告の電話で役所への提出を知った。
あとになって、やっぱり提出くらい同行すればよかったかなと少し思ってしまったのは言うまでもない。
その後、晶さんは両家の両親を招待し、食事会の席を用意してくれた。
結婚の報告と、今後の生活についてリードして話しをしてくれ、食事会の帰りのタクシー内で両親は晶さんを絶賛していた。
お見合いをして結婚相手を必死に探そうとしていた両親には、正直うんざりしていたし、煙たいとも思っていた。
だけど、両親の喜ぶ姿を見て、この結婚は悪くなかったと素直に嬉しくなった。
紆余曲折あったけれど、きっとこれで良かったのだ。