外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
食事を終えたのは八時を少し回った頃。
今日は九時からリモートで取引先との打ち合わせが入っていて、しばらく自室にこもると晶さんに知らせた。
その都合もあっていそいそと片付けを開始すると、晶さんは食事前に宣言していた通り食器洗いを買って出てくれて、大丈夫だと遠慮する私を制してキッチンに立った。
『──うん、じゃあこのチョイスで進めるわ。変更あればまた連絡するわね』
「オッケーです。ありがとうございます」
先日のモルディブで撮った何百枚という写真から、使用したいという写真を選ぶ打ち合わせ。
相手の編集者さんは付き合いも長くお互いに気心の知れた間柄のため、早朝や深夜問わずふたりの都合のつく時間で打ち合わせを予定していた。
『あ、少し早いけど。美鈴さん、ハッピーバースデー!』
仕事の話が一段落すると、画面の向こうから拍手と共にお祝いの言葉をかけられる。
「ああ、そうだった。ありがとうございまーす」