外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
リモートを終え、自身のビジネス用ウェブページの更新を行い、自室を出たのは十一時半を回った頃だった。
リビングは照明が暗めに落とされ、窓の向こうの夜景がくっきり綺麗に望めた。
水でも飲もうと入ったキッチンはきっちりと後片付けが済んでいて、その完璧さに申し訳ない気持ちになってしまった。
きっちりと抜かりない晶さん自身が現れているような感じがする。
ウォーターサーバーから冷たい水をコップに注ぎ、ふと目にしたリビングの時計は十一時四十分を指していた。
二十代終了まで、あと二十分、か……。
「美鈴?」
ぼんやりとしている背中に突然呼びかけられ身を翻(ひるがえ)すと、リビングを入ったところに晶さんが立っていた。