外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


「え……?」


 晶さんは枕元からスマートフォンを手に取り、点灯した画面に目を向ける。

 それを元の位置に置くと、私に体を向け自分の腕を枕にした。


「誕生日おめでとう」


 思わぬ言葉に、「えっ……」と目を見開く。


「知ってたんですか……?」


 まさか、という思いで訊く私に、晶さんは微笑を浮かべ「もちろん」と言う。


「二十代滑り込みで結婚だっていう話題も出てたし、見合いのプロフィールだって見てるから誕生日は知ってるだろ」

「あ、そっか……」


 晶さんの枕元のスマートフォンの画面には、日付が変わり【00:01】と表示されているのが見える。

 こんな風に日付が変わってすぐ、おめでとうの言葉をかけてもらうとは思いもしなかった。


「ありがとうございます。すごく、嬉しい」


 嬉しさが込み上げて、自然と笑顔がこぼれる。

 満面の笑みを見せる私に、晶さんは手を伸ばし頬を撫でた。


「その顔は反則だな。可愛すぎる」

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