外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
そう言った晶さんは上体を起こし、私へと一気に距離を詰める。
上から覗くように迫られ、あっという間に唇を奪われていた。触れるだけの口づけは、ほんの数秒で離れていく。
近距離で目を合わせ、晶さんは私の顔をまじまじと見つめ口を開いた。
「夫婦になったことを実感するために、美鈴を抱きたい」
ストレートすぎる要望に、心臓が驚いたように拍動する。ドッドッと内側から体を叩かれているように感じて、胸の前を両手で押さえていた。
まだほとんど触れられていないのに、自然と全身の熱が上っていく。
モルディブでのあの濃厚な夜が鮮明に蘇り、きゅんと体の芯が震えた。
自分の胸を押さえていた両手で、晶さんの胸元にそっと触れる。高鳴る鼓動の中、しっかりと目を合わせた。
「いい、ですよ。私も……抱いてほしい」