外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
「こちらこそ、美鈴ちゃんにはもう十年以上うちを贔屓にしてもらっていて。ありがたいかぎりです」
玉置さんのお店に晶さんと訪れることは、どこか親に彼を紹介するような感覚に似ているものがあるなと密かに思う。
「いやぁ、でも、一度も彼氏なんか連れて来なかった美鈴ちゃんが、いきなり旦那を連れてくるんだから驚いたな」
「そうですね。ちょっといきなりすぎたかな……」
「俺は嬉しいよ! 美鈴ちゃん、美人なのに男っ気ないから、心配してたんだ」
「なんですかそれ!」
普段通りの気心の知れた会話を繰り広げる私たちを、晶さんは微笑ましいものでも見るような顔をして見守っている。
他の客がいなかったのをいいことに近況を報告し、その後、今日の目的であるカメラを様々見せてもらった。