外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


「そうだったらいいな……」


 呟いたような私の声に、晶さんは穏やかに微笑む。


「そうに決まってる」


 確信を持ったように言い、前髪の上をぽんぽんと撫でた。

 晶さんが優しくて、自然とトクトク鼓動が高鳴り始める。


「これ、仕舞ってきますね」


 胸のドキドキを誤魔化すようにその場を立ち去りかけたとき、突然くらっと目眩に襲われた。


「どうした」

「すみません……急に目眩が」


 壁に手をついた私を、晶さんがすかさず支える。

 力強い腕に助けられ、安心感に包まれた。


「大丈夫か」

「はい。もともと、ちょっと貧血の気があるので。少し休めば大丈夫です」

「横になったほうがいい」


 晶さんは迷わず私を抱き上げ、寝室へと運び込む。

 ベッドに静かに横たわらせ、しばらくそばで様子をみていてくれた。

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