外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


「えー! おめでとうございます!」


 佑華さんのこの反応は当然のことで、普通ならここで「ありがとう」と返すのだろう。

 だけど、私は苦笑いで精一杯。

 そんな様子の私に、笑顔で祝福の言葉をかけてくれていた佑華さんの表情が落ち着いていく。


「もしかして、何か心配事でもありますか? 体調のこととか、なんでも相談してくださいね。病院、もし良かったらうちに来てもらってもいいし」


 こんなに親身になってくれる佑華さんを前に、隠さず自分の状況を話してみようかと思い始める。

 上辺だけしか話してない晶さんとのことを包み隠さず話して、妊娠しているかもしれないことを悩んでいると伝えたい。


「私が妊娠したって知ったら、彼が困ると思って」

「え……? あの、それってどういう」

「実はね、この間のモルディブでの仕事のとき、現地で彼に出会ったんだ」


 そう告げられた佑華さんはクエスチョンマークを頭の上に浮かべたような顔を見せる。

 お見合いして結婚したはずなのに、それよりも前に、しかもモルディブで出会ったとはどういうことなのだろうかと話が繋がらないのだろう。訳がわからなくて当然だ。

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