外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
後日、佑華さんの勤める帝慶医科大学病院に診察に訪れた。
検査の結果は、妊娠八週と五日。市販の検査薬はやっぱり正確なのだと思い知らされた。
佑華さんからは、もう母子手帳がもらえる時期だと知らされた。
そして、その真逆の話として、中絶を考える場合は二十一週六日までだとも話された。
病院で検査をしてもらい、妊娠していることが確定して、まず一番に考えたのはこの事実を晶さんに伝えるべきかどうかだった。
妊娠の事実を隠したまま堕胎という選択をすれば、晶さんには何も知られず解決する。
だけど、堕胎という選択はどう考えても私にはない。
まだ実感はないのが正直なところだけど、病院で映してもらったお腹のエコー写真では米粒くらいの影が見えていて、それがこれから大きくなっていく赤ちゃんだと佑華さんが教えてくれた。
確かにお腹の中に宿っている新しい命。
私の、母親の身勝手な事情で、その命を消してはいけないと強く思った。