外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


「知っていれば、今日は家で休ませられたんだ。俺が気付かなかったのが悪い」

「本当に、大丈夫です。それに、今日連れていってもらえてすごく楽しかったし、少し気分が悪くなる程度なので、全然大丈夫ですから」


 事実、こうして私のために休日を使って一緒に出かけてくれたこと自体が何より嬉しかった。

 しかし、私の不調とそれを誤魔化すための嘘のせいで、その気持ちが伝わらないのが切ない。


「そうか。それならいいが、でも、遠出で無理をさせたことには変わりない」


 いくら違うと口にしても、晶さんは自分が悪いと思ったまま。

 せっかく楽しかった休日が、私のせいで最後の最後に台無しになっていく。

 それが悲しすぎて、無意識のうちに助手席から晶さんの腕に手を伸ばしていた。

 両手で掴み、そっと引き寄せる。


「晶さんは何も悪くないです。私が、私が……」

「美鈴?」

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