外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


 もう、全部言ってしまおうか。

 隠していることがぽろぽろと溢れ出すような感情に襲われたものの、一瞬にして正気を取り戻す。

 晶さんの手が私の頬に触れ、間近でじっと顔を見つめられた。


「どうしたんだ。何かあるのか?」

「い、いえ。ごめんなさい。なんでも、ないです」


 事実を口にすれば、今すぐ終わりを迎える私たちの関係。

 いずれは嫌でもそのときを迎えるときがくる。


 だから、今はまだ……。


 頬に添えられた温かい手に、ぎゅっと胸が締め付けられるのを感じていた。


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