外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
「モルディブで、美鈴がカメラを始めたきっかけを話してくれたとき、自分が過去に撮った写真のことを話していて内心驚いた。この写真がきっかけでカメラを始め、あのコンクールで同じように受賞して、今はプロのカメラマンとして活躍していると知って、出会ったことに運命を感じた」
「私も、今同じこと思ってました。嘘……なんか、信じられない」
一度落ちついた涙が、さっきとは違う感情が込み上げて再び流れ落ちる。
晶さんは「また泣く」と少し笑って、私の濡れる頬を指先で拭ってくれた。
「ひとつ不思議だったのが、俺の名前を知って、ポスターに掲載されてる名前と一致しないのかなって思ってた」
「あ……もしかして、あのなくなってる下のところに本当は晶さんの名前が?」
「確か、学校名と名前が小さく載ってた記憶」