外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
「今、週数的にどのくらいなんだ」
「十週に入りました。三か月です」
涙も落ち着いた頃、ソファに並んでかける私たちはぴったりと密着し、互いに触れ合う側の手を指を絡めて繋いでいた。
晶さんが不思議そうに、そっと私のお腹に暇をしている方の手で触れる。
「私も、まだ実感はないです。お腹も膨らんでいないし、もちろん胎動とかもないので」
「そうか。でも、とにかく無理をしないほうがいい。知っていたら、今日だって出席を考えられたのに。着物なんか着て、お腹を締め付けて大丈夫だったのか」
あ……だから、さっき帰ってきたときにそれを言っていたんだ。
「大丈夫です。着物は、私も心配だったので、前に話した助産師の友達に事前に相談して着ても大丈夫か訊きました。お腹を締めすぎないように、着付けの際に妊娠してると話してと言われたのでその通りに」
晶さんはホッとしたように「そうか」と呟く。
「美鈴自身の体調はどうなんだ? つわりとか、毎日見ている感じでは全然わからなかったけど、実は気づかれないようにしてたなんてこと……」
「つわりは、今のところはひどくないほうみたいで、大丈夫です。ただ、少し貧血気味なので、そこが少し心配のようで」
「貧血……それは、食事で改善させたり?」
「はい。あとは、必要なら鉄剤を飲んだりするみたいです」
答えながら、思わずクスッと笑ってしまう。