外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
普段、残業も当たり前で激務なのに、休日は休日で私に代わって家のことまでやってくれている。
大丈夫だと言ってもなかなか聞いてくれず、最近は素直にお言葉に甘えるようにしている。
私自身も日に日に体が重くなってきて、近頃は体も疲れやすい。でも、お腹の赤ちゃんの成長は日増しに実感している。
最近はよく動いているし、お腹も元気よく蹴ってくる。すでにかなり活発なため、やんちゃな男の子なのではと晶さんとは話している。
赤ちゃんの性別はもう教えてもらえる時期は過ぎたけれど、晶さんと話し合って生まれてからのお楽しみにした。
男の子なのか、女の子なのか。どちらが産まれてもいいように準備を進めるのは、楽しみが二倍になった感じがして嬉しい。
「今日はどこに行くんですか?」
車に乗り込むと、晶さんははじめに私のシートベルトをつけてくれる。
大きくなったお腹を気遣いながら、いつも苦しくないように配慮してくれるのだ。
「どこだと思う?」
「んー……? どこだろう」
今日のお出かけの行き先は不明。どこに行くのか何も教えてもらっていない。
「じゃあ、着いてからのお楽しみにしておこう」
自分のシートベルトを締めながら、晶さんはどこか楽し気にそう言った。