外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


「美鈴、こっち」


 晶さんに続いて奥の部屋に入ると、そこには撮影機材が並んでいた。


「あの、なんの撮影をするんですか?」

「美鈴、なんの疑いもなく自分が撮るほうだと思ってるだろ?」

「え……?」


 スタジオ、カメラ……この状況を前にしてそれ以外に考えられない。


「今日の美鈴は、撮られる側」

「……。えっ、私がですか?」


「そう」と言った晶さんは、部屋の端に用意された台の上の衣装ケースに近づく。

 横から一緒に中を覗くと、そこにはレース素材の衣装が何種類も用意されていた。


「もしかして……マタニティフォト、ですか?」

「さすがカメラマン。前に、少し話題に出たから」

「覚えてたんですか?」

「もちろん」

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