外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
ちょうどお腹が目立ち始めた頃、ちらっとそんな話が話題に上がった。
でも、普段撮る側の自分が撮られることには慣れていないため、記念に残したいという思いがありつつも実現に向けては何も動いていなかった。
まさか、晶さんがこんな風に計画してくれているなんて思いもしない。
でも……。
「あの、撮影は誰が」
スタジオには私たち以外に人の気配はない。カメラマンは、これから……?
「俺が撮る」
「えっ、晶さんが?」
思わぬ返答に驚きの声を上げる。
「一応、撮れるつもりでいるけど、プロにダメ出しされる覚悟もしてる」
「そんな、何を言ってるんですか! 晶さんは私の師匠みたいな存在ですから」
私の発言に晶さんはクスッと笑う。
「師匠って。俺は何も教えてないけど」
「そんなことないですよ? 私がカメラを始めるきっかけだったんですから。晶さんの知らぬ間に私の師匠です」
晶さんはまたフッと笑う。
「相変わらず面白発言するな、美鈴は」
そう言って両手で私を抱き寄せ、額にそっと口づけを落とした。