外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
巡り合えたのはきっと運命
リビングにはコーヒーのいい香りが漂い、ダイニングテーブルの上には、綺麗に食べ終えた食器が下げられるのを待っている。
いつも通りの朝の光景。
食器を下げ、食後のコーヒーをカップに注いでいると、いつの間にか背後に迫っていた晶さんに抱きしめられた。
「晶さん。ちょうどコーヒーが」
「ああ、ありがとう。どうだ、お腹の感じは」
背後から私の大きく膨らんだ腹部にそっと触れ、晶さんは窺うように私の耳元から顔を覗く。
「今のところは、特に何も。本当に、今日が予定日なのかなって」
今日はいよいよ出産予定日当日。
これまで大きな体調の変化もなく、平穏無事に正期産を迎えることができた。それは晶さんの日々の気遣いのおかげと言っても過言ではない。
「予定日にぴったり出産するとも限らない。明日かもしれないし、明後日かもしれないしな」
「そうですね」