外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
家事がひと段落した昼下がり。
ひとり簡単にお昼を食べ、温かいルイボスティーを淹れてソファに腰を落ち着ける。
昼の情報番組でも眺めようとテレビをオンにすると、ちょうどアナウンサーがニュースを読み上げていた。
「あっ……」
思わず背もたれに倒していた体を起こしていた。
液晶画面の向こうには、昨日訪日した米国大統領と総理大臣が会談を行うというニュースが映像と共に流れている。
大統領と総理大臣が談笑しながら官邸内を歩く姿のそば、晶さんの姿が目に飛び込んできたのだ。
米国大統領来日で、ここ数日の晶さんは多忙を極めている。
二日前は帰宅するのが困難なほどのスケジュールで、帰ってきたのは明け方のことだった。
仮眠程度でまた出勤していき、大分疲れているのではないかと心配している。
それでも、画面の向こうで要人をエスコートする晶さんは相変わらず際立つオーラを発している。
こんなすごい人が旦那様で、私のことを想ってくれているのが改めて信じられない。
「ほら、見てごらん。あなたのパパはね、ものすごく立派な、素敵な人なんだよ」
腹部をさすりながら、お腹の中に話しかける。