外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
病院に到着したのは、午後一時を回った頃だった。
すぐに産婦人科の外来を訪れ、内診が行われる。
診てくれた女性の医師は「弱いけど、陣痛がきてるわね」と言い、子宮口もわずかに開き始めていると言った。
もしかしたら治まるかもしれないなんて聞いていたせいで、まだ出産はすぐではないだろうと勝手に思っていた。
しかし、事態は急展開。このままこの痛みはどんどん強くなり、本陣痛となる可能性が高いらしい。
「佑華さんがいるときで良かった……」
不安な気持ちがつい口に出てしまう。
佑華さんはいつも通りの笑顔を浮かべて「予定日ぴったりで驚きました!」と言いながら、私のお腹につけていた機械を取り外していく。