外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


「初産だから、お産はゆっくり進むかもしれないですけど、一応、ご主人に連絡入れておきますね」

「あ、うん。でも……」

「立ち合いは希望、でしたよね?」

 確認を取られてうんと一度頷く。

「今、仕事が忙しい時期で、たぶん、抜け出してきたりとかは無理だから。残業も多くて」


 このままゆっくり陣痛に繋がっていったら、だいたいどのくらいで出産になるのだろう。

 お産について調べてみると、産むまでに丸一日以上かかる人もいれば、初産でもスピード出産の人もいるらしく、こればっかりは時間の予測は難しそうだ。


「そうなんですか。じゃあ、一応状況だけでもお知らせしておいて、向かえるときに来ていただけるように連絡させてもらいますね」

「うん、ありがとう」


 佑華さんは「横になっていてください」と、そそくさとベッドを離れていく。

 立ち合いの望みは薄いけど、晶さんのような特殊な仕事柄それは致し方ないこと。

 ひとりでも出産を無事に乗り越えることを心に決め、「頑張ろうね」と心の中でお腹の赤ちゃんに話しかけた。

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