外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
弱い陣痛のような痛みと腰のだるさは、時間を追うごとに微量ずつ増えていき、夕方五時を回る頃には痛みがくると顔をしかめる程度の強さにまでなっていた。
少し前に夕食がトレーに載って運ばれてきたけれど、痛みがくると箸を止めてしまうほどだ。
「美鈴さん、痛み強くなってきたから、ちょっと内診してみましょうか」
佑華さんがテキパキとグローブをはめ検査をしてくれる。
「子宮口結構開いてきてますね。結構痛みあると思いますけど、美鈴さん痛みに強いほうなんですか?」
「え、そうなのかな……」
「ここまで開いてきてたら結構痛いと思いますよ。このままお産になってくると思うので、移動しましょう」
思ったよりも早い段階で陣痛がつき、このまま出産の流れになるといわれて慄く。
佑華さんをはじめ周囲のスタッフが慌ただしく動き出し、いよいよ始まるお産に緊張は最高潮に達していた。
「美鈴さん。ご主人、さっき連絡したときにちゃんと電話取ってくれて、なるべく早く向かいますって言ってましたよ」
痛みが強く出ているときは、声を出すのも辛く、変な汗が流れてくる。こくこくと二度頷いて返事をしてみせた。