外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
十一月二十七日、午後七時三十七分。二千九百八十グラムの元気な女の子が無事誕生した。
初産にしてはスピード出産で安産だったという私のお産。
お腹の中から出てきた直後、きれいになった赤ちゃんがまだ横たわったままの私の胸元に運ばれてきた。
温かくてちゃんと動いていて、今少し前まで自分のお腹の中にいたと思うと生命の神秘を身をもって実感した。
出産後少し体を休め、私は車いすで病室へと移動した。
生まれたばかりの赤ちゃんは、入院中はナースセンターで預かってくれるらしく、その間はゆっくり体を休めて眠ることができる。
退院後は夜中数時間おきに赤ちゃんが目を覚ますから、ゆっくり続けて眠ることはしばらくは難しいだろう。
『出産がこの時間だったし、今日は特別旦那さんの面会時間のばしてオッケーにしときますね』
私の出産に入ってくれた佑華さんは、少し前に病院を退勤していった。
本来なら夕方で仕事は上がりだったところ、私の出産に付き合って残業してくれたのだ。
その佑華さんが、病院の面会時間夜八時までのところ、もう少し長くいても構わないと許可してくれた。
佑華さんには物凄くお世話になったし、改めてお礼をしっかりさせてもらいたい。