外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
「美鈴が出産するのを目の前で見ていて、心から尊敬した。こんなに偉大な人が、俺の奥さんなんだって」
「晶さん……」
「もっともっと、好きになった」
晶さんの真剣な眼差しをじっと見つめ、自然と温かいものが目尻を伝って流れ落ちていく。
「美鈴も、生まれた子も、俺が生涯かけて必ず守っていく」
流れる涙は枕を濡らしていく。
晶さんは私の頭を労うように丁寧に撫でながら、頬にそっとキスを落としてくれた。
「美鈴、俺との子を、産んでくれてありがとう」
涙の膜の張った視界の中で見えた晶さんは、今までで一番優しく、穏やかな笑顔で私を見つめていた。
FIN