外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
突然何を言い出したのかと、ついキョトンとしてしまう。
そんな私を前にしても、大河内さんは微笑を浮かべるだけ。
じっと見つめられてしまい、顔に熱が集まっていくのを感じた。
「いや、すみません。話してくださる姿がすごく楽しそうで。きっと、今のお仕事が大好きで、充実しているからこそなんだろうと思ったので」
「あ……」
そんな風に思いながら話を聞いてもらっていたのかと知ると、恥ずかしくなりより赤面してしまう。
誤魔化すようにスパークリングウォーターの注がれたグラスを手に取り口をつけた。
「写真って、ただの記録だと言う人間もいるけれど、私は芸術だと思うんです。嘉門さんの撮ったもので心を動かされた人は、きっとたくさんいるんでしょうね。だから、素敵な仕事をされていると言いました」
「いえ、そんな風に言ってもらえるものが撮れているかはわからないですけど、でも、私も写真は記録ではなく、芸術だと思ってます!」